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乗京 真知 (のりきょう まさとも)
仙台総局 2006年入社
事件には目を背けてはいけない真実がある。
宮城県で乗組員16名が亡くなった漁船転覆事故は、入社間もない私にとってジャーナリズムとは何かを深く考えさせられた出来事でした。事故が発生したと推定される時刻に、乗船する父親が娘の携帯電話に残した幾度もの不在着信。父親はそのとき娘に何を伝えたかったのか。船出前に、妻に向けて人生初のラブレターを贈った乗組員もいました。事件・事故に関わった人たちの言葉を聞いていると、そこに至るまでの人々のドラマが手に取るように感じられます。事故は、偶発的な天災だったのか、それとも人災だったのか。やり場のない悔しさや憤りをひしひしと感じながら、ジャーナリストとして真実を追っていく責任を強く感じました。事件から2年たった今でも、私のもとには遺族の方から手紙が届きます。事件は月日が経っても、遺族の方の心から消えることはありません。それでも一歩一歩前へ進もうという姿を世の中に伝えることも、記者としての使命だと思っています。
そこにいるからこそ見える事実を、ずっと。
小学生の頃、私は、父の仕事の都合でブラジルのリオデジャネイロで暮らす機会がありました。そこでの暮らしは、望めば何でも手に入る日本の暮らしとは大きくかけ離れていて、道端には路上生活者があふれ、子供たちは服もまとわず舗装されていない地面を裸足で駆け回っていました。そんな中、忘れられない記憶が、公園で路上出産を目撃したことです。父親と思わしき裸の男性が赤ちゃんを取り上げ、噴水の上で誇らしげに我が子を掲げていたシーンが、今でも鮮明に目に焼き付いています。その衝撃は非常に大きく、小学生の私でさえも、貧しい暮らしの中で力強く生きる人の姿に心を打たれました。人の声を聞き、その姿を目の当たりにし、現場を肌で感じなければ、世の中で起こっていることの本当の姿は決して見えてこないものです。その姿をありありと伝えられるように、私はそこにいる人を追いつづけたいと思います。
入社動機 リオデジャネイロでの生活をきっかけに、世界の本当の姿を追っていきたいとジャーナリズムに興味を持つ。朝日新聞朝刊連載、自動小銃から紛争の悲劇に迫ったルポタージュ「カラシニコフ」は具体的に記者を目指す大きなきっかけとなった。
キャリア 仙台総局をへて10年4月から名古屋本社編集局へ。
大蔦 幸